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スカチャン ステーションID

スカパーなどで放送中の「スカチャン」のステーションIDを制作しました。
今回の作業内容は、風景に「スカチャン」マークの影を合成することが中心になります。
この案件の初めの打ち合わせの時点で、既に撮影、仮編集、色調補正が終了していました。よって、実写素材のテイストはそのままに、CGを違和感なく合成することが目標です。

まず、短めの素材でのテストです。。
テスト制作をすることによって、具体的な制作の方法を決定し、スケジュールや人員配置も割り出します。

上の画像がテスト制作に使用した素材です。
まるでミニチュアみたいな風景に、手ブレ風の動きの加わった、雰囲気のある素材です。そこに、あたかも巨大な雲形ペットマークが上空に漂っているかのような影を合成していきます。

 

今回の合成作業において、最も留意すべき点は

A 手ブレ
B ピンボケ          の二点でした。

A 手ブレについて
今回の映像は、スチルカメラで連続撮影した写真をつないで動画としています。その為、映像が手ブレのように細かく揺れています。
揺れている素材での合成作業は、非常にデリケートで、作業量も多くなってしまいます。
ですので、まず元素材の揺れを画像上で止めて(スタビライズといいます)、それを元に作業を進めます。これで作業が大分楽になるはずです。

B ピンボケについて
今回の素材は「ティルト・シフトレンズ」という特殊なレンズを使用して撮影された様々な街中の風景でした。このレンズの持ち味は正にその問題の「ピンボケ」です。
レンズ独自の持ち味を殺さないためにも、精度の高い合成を目指さねばなりません!

 

STEP1
まずは、手ぶれを止めます.。

作業Tips1

AfterEffectsを使用します。
「モーションをスタビライズ」という機能を使います。画像を動かして、撮影された風景の揺れを打ち消します。

画像を動かす際に、画像のフチが画面外に切れるので、一回り大きい画面を用意します。
以降の作業は全て、スタビライズされた一回り大きい画像で行います。

AfterEffects作業画面
上の動画が、スタビライズされた一回り大きい画像です。手ブレが止まり、画像全体の位置が細かく変化しているのがお分かりいただけますでしょうか?

STEP2
次に、影のマスクを作ります。
合成ソフトで影を描くこともできますが、正確なパースで影を表現するため、3Dソフトを使用しました。
3Dソフト上で街並みを再現し、そこでCGの影を作っていきます。

作業Tips2

今回、3DソフトはMayaを使用しました。Mayaでの作業画面は下のようになります。

Maya作業画面
Maya作業画面
Maya作業画面
Maya作業画面
Maya作業画面

まず、Mayaの作業画面にはあらかじめ先程の「スタビライズされた一回り大きい画像」を読み込んでおきます。
素材撮影時のカメラのミリ数はわかっていましたので、作業用のカメラもそれに合わせます。(画像を大きくした分、カメラのアングルも大きくしなければいけません。Mayaでは、カメラアトリビュートのCameraScaleに倍率を入れます。)

次に、画像に合わせて3D空間に街並みを作ります。この風景では、中央を走る道路を基準としました。(パースがよく分かることと、自動車を3Dで走らせる際のガイドラインにすることが理由です。)街灯も、パースを探るための大きな情報源となります。そして、カメラと街並みを少しずつ動かして、撮影素材にピッタリ合うまで調整します。

先程、正確なパースで影を表現したいと言いましたが、実は3Dの街並みは現実と違うところがあります。
現実の道路には高低差があるのですが、3Dでは平らにしています。自動車を走らせる際、高低差があると、作業量が大変多くなるからです。もちろん、画面上の見た目は、撮影素材にピッタリ合うようにしています。

use backgroundシェーダ

街並みが完成したら、光源と影を落とすものを設定し、影のCGを作ります。街並みには、use back groundシェーダを使います。設定は上の画像の通りです。

use back groundシェーダを使うと、レンダリング画像のアルファチャンネルに影のマスクが正確に抽出されます。

街並みのオブジェクトの render statsのcasts shadowsは切っておきます。 シーンデータ内のオブジェクトはあくまで雲形ペットマークの影を受けるためのもので、オブジェクトの間でのお互いの影の影響は必要ないからです。

下の動画は3DCGで作られた影素材です。後の合成時に調整できるように、影素材もパーツごとにばらして出します。

道路とその上を走る車

橋脚

奥の街灯

手前の街灯

上の高速道路

川面

STEP3
ここで、留意点Bのピンボケを再現しないといけません。

ピンボケした物はアウトラインがぼけているので、そのボケ具合に合わせて物に落ちる影もボカす必要があります。CGでつくったマスクをそのまま使用しても、自然なボケ感は表現できません。
そこで、街の個々の構造物に対して、撮影素材のピンボケ具合にマッチしたマスクを、合成ソフト上で一つ一つ作りました。
つまり、こういうことです。

・CGで作るマスク → 立体物に落ちる影の形状表現用
・合成ソフトで作るマスク → 物のボケたアウトライン制作用

実は、CGで作るマスクは、ボケた構造物のアウトラインから若干はみ出すように大きめに作ってあります。
そして、これらの二つのマスクを重ねることで、正確にピンボケした影マスクを生成できます。

作業Tips3

AfterEffectsにCGで作った影マスクを読み込み、「スタビライズされた一回り大きい画像」の上に影としてのせていきます。
影をのせる対象物のボケたアウトラインに合うように、手作業でベジェマスクを描いていきます。それぞれマスクのボカし範囲は、合成中の画像の部分に合わせて、少しずつ調整します。

AfterEffects作業画面
AfterEffects作業画面
AfterEffects作業画面
AfterEffects作業画面
AfterEffects作業画面

STEP4
色味に注意しつつ、STEP3で作ったマスクを使い影を合成します。
(実際の作業では、STEP3とSTEP4は同時進行です。)

作業Tips4

影素材の合成の仕方ですが、乗算や焼きこみは使いません。出来上がった正確なマスクで、元の風景を切り抜き、その部分に対して色調補正をかけます。
影の色は複雑であり、風景で実際に落ちている影の色に合わせる必要がある為、色味を自由にコントロールできる方法をとります。

作業全体を考える際に、ボケ具合や色味などの調整は、合成ソフトでインタラクティブに行うことが重要です。

STEP5
合成が完了したので、手ブレ感を元に戻し、黒い縁を切りとり完成です。

作業Tips5

最初に作業Tips1でスタビライズしたときの「アンカーポイント」の値を、出来た合成画像の「位置」にコピー&ペーストすれば、手ブレが復活します。

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